大会最終日となる3日目は、個人・団体ともに種目別決勝が行われた。連日のハイレベルな戦いに加え、会場は満員。選手たちは極度の集中力と体力の限界に挑みながら、それぞれの強みを発揮し、世界トップレベルの演技を披露した。
7月20日
●個人種目別決勝
《フープ》
1位:30.100/RAFFAELI Sofia(イタリア)
総合時よりも身体難度・手具操作ともに精度が増し、高得点を叩き出した。満員の会場と割れんばかりの歓声の中でも冷静さを失わず、曲の世界観を緻密に表現し切った。
《ボール》
1位:30.300/VARFOLOMEEV Darja(ドイツ)
試合3日目の疲労を一切感じさせず、種目を重ねるごとに力強さを増す演技はさすがオリンピックメダリスト。危なげのない安定感で堂々と1位を獲得した。
《クラブ》
1位:29.400/NIKOLOVA Stiliana(ブルガリア)
ラファエリローテーションでは若干軸がブレたが、疲れやミスが出やすい3種目目でも集中力を切らさず、しっかりとまとめ上げた。
《リボン》
1位:28.800/DRAGAS Tara(イタリア)
上位選手であるVARFOLOMEEV、RAFFAELIにミスが出る中、正確な身体難度と手具操作で着実に加点を重ねたDRAGASが1位に輝いた。
個人種目別決勝では、4種目すべてにおいて異なる選手が金メダルを獲得し、それぞれの持ち味と強みが際立つ結果となった。
D・A・Eすべてのスコアにおいて、わずか0.1の差が勝敗を分けるという、非常にハイレベルで緊張感のある戦いが繰り広げられ、技術・芸術性・構成力すべてにおいて見応えのある大会となった。
●団体 種目別
《リボン》出場選手:鈴木歩佳、稲木李菜子、田口久乃、西本愛実、三好初音
得点:24.900(D12.40/A 6.85/E 5.95 /P0.30)3位
湿気と空調の風の影響でリボンの調整が懸念されたが、「必ずやり切る」という強い意志を持って本番に臨むことができた。1か所、投げが大きくなり場外での受けとなったが、リボンの処理を的確に行い、身体の場外による減点のみにとどめた。
CRでやりきれなかった箇所もあったが、予選での反省を活かし、大きな落下ミスなく全体をまとめることができた点は大きな成果であり、銅メダル獲得へとつながった。
今後は、CCや複数投げにおいてリボンが床上に残ってしまう場面への対応、また投げ受け時の移動を減らすことで、実施減点のさらなる削減を目指していく。
《フープ(3)+ボール(2)》出場選手:鈴木歩佳、稲木李菜子、田口久乃、西本愛実、花村夏実
得点:28.000(D13.60/A 7.50/E 6.90)2位
大会終盤での演技となり、体力的にも厳しいタイミングであったが、落ち着いた試合運びを実現した。前半はやや移動が目立ったものの、動きでの対応にも余裕があり、安定感のある演技を披露した。
技を確実に決め切る場面が増えたことで、Dスコアは安定して上昇傾向にある。一方で、細かな移動や両手受けといった部分での実施減点が得点差に直結した。
今後は、演技全体の精度向上により、無駄のない構成と迫力ある表現を両立し、さらに完成度の高い作品へと仕上げていきたい。
【個人総括】
春先のワールドカップではまだ完成されていなかった身体難度も、今大会では実施減点(誤差)のない正確な実施へと進化し、各選手が確実にDスコアを積み上げられるレベルに到達している。特に上位選手においては、熟練度の向上により、演技全体の流れがよりスムーズとなり、表現の深みや音楽性も明らかに向上している。
その結果、作品としての完成度と芸術性が飛躍的に高まり、「作品として見せる」レベルに到達しつつあることを実感する大会となった。
一方で、日本選手においては、身体難度や手具操作の技術精度は確実に伸びているものの、演技全体を通して“確実性”と“攻め”の両立ができるかどうかが今後の課題である。特にDB・DAの加点を取り切る「見せ切る強さ」や、演技後半での集中力・表現の持続力の向上が、世界のトップと肩を並べるために必要不可欠である。
また、観客を惹きつける芸術性・個性の表現力については、他国の選手と比較するとやや控えめである印象が残る。今後は、安定した技術力に加えて、個人としての“魅せ方”や“音楽との一体感”をより明確に打ち出すことが求められる。
【団体総括】
団体についても、今大会を通じて演技の安定感は向上しつつあるが、各国が新体制で臨む今シーズンは、全体的にチームとしての完成度にばらつきが見られる状況である。
その中で、日本も同様に調整段階にあるが、総合および種目別すべてでメダルを獲得できたことは、大きな自信につながる成果である。
また、試合を重ねるごとに演技の精度と構成の完成度が向上している点は、今後の世界選手権に向けた大きな手応えとなった。
今後、世界選手権へ向けては、どの国も確実にミスを減らし、演技をまとめてくることが予想される。日本も、個人・団体を通して「正確性・安定性・芸術性・迫力」のバランスをいかに高いレベルで融合させるかが重要となる。
《今後の課題》
•DB・DAにおける加点を確実に取り切る「実施の強さ」
•演技(試合)後半における集中力の持続と、表現の深化
•審判、観客を惹きつける芸術性・音楽との一体感、個性の強調
•投げ受け時の無駄な移動・不必要な両手キャッチなど、細かな実施減点の削減
今週末には、各WCCクルジュナポカに出場する。実戦経験を積み重ねながら、ミスを抑え、加点を積み上げる安定性と、世界に通用する芸術性と完成度を両立した演技の構築を目指していきたい。
報告者:村田由香里





